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zoom RSS 『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』 六草いちか 著

<<   作成日時 : 2011/03/28 00:22   >>

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 憂鬱な日々が続いている。
 
 あの地震で感じた本能的な恐怖感に肉体は正直に反応して、血圧は上昇し、眩暈やふらつきが起きる。
 少し日にちが経ってそれが少し治まったかと思うと今度はどうしようない無力感に襲われ、まったく何もしたくなくなる。
 とはいえ、気にならないわけではないのでテレビを点ける。するといつの間にかすっかりワイドショー化した報道番組が、原発の専門家と称する輩を担いで様々な情報を垂れ流しにしており、この国の政治家、官僚、マスコミと続く無節操さばかりが目立ってますます気が滅入ってくる。

 そうして昨日までの時間が過ぎていったのだが、たまたま気分転換に立ち寄った書店でこのこの本を見つけた。
 本の帯には「ミステリー小説を読むがごとくの興奮」と書かれていて、半信半疑だったが読み始めるとまさしくその通りで、一気に読み終えてしまった。
 
 内容としては、これまで鴎外とはあまり縁がなかったドイツ在住のライターがふとしたきっかけから、長い間にわたって諸説入り乱れてきた森鴎外の名作の『舞姫』のヒロインであるエリスのモデルを探すことになる。彼女は苦心の末に、鴎外研究者の誰もがなしえなかった真実に、それも教会の記録というドイツ在住者ならではの視点から辿り着くのだが、そのひらめきと挫折の連続の過程がとても面白い。

 そうして彼女が解明したその結果から、夏目漱石と並ぶ近代インテリとしての苦悩を抱えた鴎外像とはまた異なる肖像を私達は手に入れることになる。
 最大でも四年のドイツ留学期間中の何年間か、その短い時間を共に過ごしたエリーゼ・ヴィーゲルトという当時17歳から21歳の少し手先の器用な極めて普通の娘を、鴎外森林太郎はその一生涯にわたってただひたすらずっと愛し続けたのである。遠く離れた日本の地で。
 まさにこれこそが『舞姫』の最大の謎であり、ひとつの奇跡と言えるのではないだろうか。



 
鴎外の恋 舞姫エリスの真実
講談社
六草 いちか

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